Keep it simple,

DALカウボーイズのこと、NFLのこと、ゲームのこと、自分の趣味をシンプルに書き留める。

トランプの暴言に対する適切な反応を考えよう。

背景をちゃんと押さえておきましょう。

 

トランプの暴言の件です。

ことの発端は49ersのQBコリン・キャパニックが、昨年の試合前の国旗掲揚、国歌斉唱の場面で起立せずに膝をついていたことで非難されたところからはじまる。この行動に対して彼は「黒人や有色人種を迫害し続ける国の国旗に対して誇りを持てないので起立しない」とコメントした。

ここで大事なのは彼は起立しなかっただけで、国旗や国歌を侮辱したのでは無いというところ。

その後は成績不振もあり今季、解雇され、何処にも所属していない。

彼が雇われないのは個人的には実力だと思うが、面倒なヤツと敬遠されている可能性もある。

いずれにしても、今彼は試合前にニーダウンをすることは出来ない。

 

このキャパニックに、キャパニックの主張に、共鳴、共感、賛同、あるいは同情して今シーズン、ニーダウンの動きは広がっていっていた。

 

さらに遡れば、1968年のオリンピック。男子200mの表彰台。トミー・スミスとジョン・カーロスは黒い手袋をして拳を突き上げた。人種差別への抗議行動だ。

 

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写真だけを見ると2位の白人の選手、ピーター・ノーマンは無関係に思えるが、彼は彼らの行動を事前に知らされて、支持し、胸に彼らと同じバッチをつけている。

 

このときの彼のセリフがカッコイイ。

 I’ll stand with you

 

ちなみに、このあとピーターは母国で迫害を受ける。しかし現在、彼の行動は賞賛を受け、亡くなったときに棺を先頭で担いだのは黒い手袋をハメて抗議した2人だった。

 

「ニーダウンしてるけど共に立つよ」というのが、ややこしいがトランプ発言の前までの状況。

 

これに対して多くの人は暖かく見守っていたと思う。感覚的には「せやなー」って感じ。だって侮辱したわけじゃないからね。それもまた自由だよって感覚でしょう。

 

 

この状況でトランプは

「国旗に対する尊重を欠く者がいた場合、NFLオーナーたちが“今すぐフィールドからつまみ出せ。クビだ。お前はクビだ!”と叫ぶ姿を見たくはないか? そのうちどこかのオーナーがそうするだろう。その時はきっとこう言うに違いない。“あいつは国旗を侮辱した。クビだ”とね。彼らは知らないのだ。私にはオーナーの友人がたくさんいる。1週間は人気者になるだろう。この国で最も人気のある人物になるはずだ」

と発言したもんだから、NFL全体で、連帯して抗議をしているっていうのが今です。

 

なので今のこの一連の抗議は、「クビにしろとは何事だ(何様だ)」という抗議であり、人種差別の問題(キャパニックの主張)と混同しない必要があります。

 

ここを間違わないでください。

 

さて一方でトランプ大統領が誕生した背景。

これも単なる過激発言、差別主義オヤジのイロモノとして報道しているメディアが多数だけど、そんな表層的な理解では不足している。

格差拡大などの社会的不満のなかで、"Make America Great Again"(アメリカを再び偉大にしよう)のメッセージが魅力的に移り、「BUILD THE WALL!」と支持者にも叫ばした訳だ。

ここでのポイントはアメリカを再び偉大にするの方が主張の核で、壁は枝の話。

 

だから国家に対しての思いはトランプのアイデンティティなので、立てよと言うのはある意味当然とも言える。クビ云々に関しては、実際に壁が建ったのか?と問いたい。出来るわけないだろ?

 

しかし、トランプもまた表面的な事象に気を取られ、アメリカという国の作られた文化は自由と民主主義であり、ニーダウンする自由が認められるということをないがしろにしてしまっている。

 

そして第三者がこの一連の事象に対して、軽率に反応し、明後日の方向に議論を進めている。

特に文化背景を無視して、日本での公務員の君が代起立問題を同列に語ろうとする輩や事情を調べもせずにアホなコメントしている精神科医みたいな輩には注意しよう。

 

また、ついでながらスポーツに政治を持ち込まないという建前は政教分離と同じく、建前でしかなく、そんなことは不可能で、密接不可分なものであることも知ろう。

 

人種差別と、それに対する抗議に関しては、1968に既に歴史の前例があり、結論はもう出ているはずだ。歴史に学ぼう。

 

 

まとめると

クビにしろというのは口が過ぎるが、トランプは今回、人種差別発言をしてない。またキャパニックは直接関係が無く、今のNFLの抗議は人種差別への抗議でも無い。

 

表面的な捉え方や恣意的な捉え方をしないようにしましょう。

額面通りに受け取るなってことですね。